課題解決型学習(PBL)
人間科学部 心身健康科学科
心身健康科学科では「総合演習」が必修化されている。この「総合演習」は、通信教育課程の本学科において教員から直接指導を受けることのできる最良の機会であり、学生は、社会、仕事、生活という自身の置かれている環境の中からそれぞれテーマを見つけ、担当教員のサポートのもとで総合演習に取り組む。学生は担当教員との面接やUHAS@Myキャンパスを通して、課題の発見、計画設定、情報収集、資料の分析、文書作成など多岐にわたる指導を受け、それぞれの課題を解決しつつ、最終的に報告書を完成させる。
「総合演習」は本学での学修の集大成として、人間にまつわる諸問題を学際的に探究し、得られた情報を整理し、「こころ」「からだ」「文化」の3つの視点から統合することによって自らの考えを深め、主体性、創造性、分析力、洞察力、統合力、協調性、他者に対する感性、といった生涯にわたって役立つ知恵(=「よりよく生きるための知恵」を育成することを目標としている。
人間科学部
「宇都宮大学農学部附属農場における食農教育実習」プロジェクト。平成22年度に文部科学省が推進する「共同利用拠点制度」に宇都宮大学農学部附属農場が認定された初年度から、本学の3年生が食農教育実習に参加している。毎年20名から30名の学生が参加し、2泊3日の食農教育実習が行われている。
このプロジェクトでは、農場内の広大な敷地にある「作物」「園芸」「畜産」「農業機械」の各分野の充実した施設やスタッフに支えられて、学生は実習を通じて、食に関して生産から消費まで一貫した流れを捉え、さらに生命の尊さや人間と自然との関わりを実感し、将来食に関わる管理栄養士としての、食の原点を学び、食と栄養における問題解決能力を養う。
また、健康栄養学科では「卒業研究」が必修化されており、学生は卒業研究の作業を通して主体的に研究テーマを見つけ、研究手法や情報の収集・分析の方法を学びながら、それまでの学修を統合する作業を教員や学生とのディスカッションなどを通して完成させていく。そのプロセスを通して、現代社会に横たわる「食・健康」への問題の把握とその解決方法を能動的に身につけていく。
卒業研究の目標は、主体的に選んだ(自ら気づいた)課題の解決を能動的に行うことで、それまでの学修では体験できなかったアウトプット型・統合力志向型の学習プロセスを体験する。
さらにその学習プロセスを通じて、従来の教育手法では育成が難しかった能力:異分野間の知識の統合力や広い視点から洞察力、自己教育力や問題発見能力などを養い、人間が「よりよく生きるための知恵」を創造していく力を養っていく。
保健医療学部
保健医療学部での課題解決型学習(PBL)の多くは、「問題解決型」授業として、実習科目、演習科目において行われている。
その具体例を紹介するが、リハビリテーション学科・義肢装具学専攻では、「義肢Ⅰ実習」、「義肢Ⅱ実習」「義肢Ⅲ実習」「装具Ⅰ」など、切断者や片麻痺者であるモデル被験者の義足や下肢装具を製作と適合を実践する実習科目があり、基礎技術の獲得を目的としている。自身が身に着けた技術のみを頼りにモデル被験者のアセスメント、製作および適合の一連のプロセスを体験させる。さらに、自分の足りない知識、技術について振り返り、レポートおよび報告を実施している。
ポイントは、学生がモデル被験者を担当し、製作および適合の一連のプロセスを実際に体験することで、自身の技術の過不足を課題として理解し、さらにそのプロセスを振り返ることで課題に対する解決策等を主体的にはかり、さらに次の学修に備えるといったPDCAサイクルを確立している点にある。
この「問題解決型授業」は、看護学科、リハビリテーション学科だけではなく、健康栄養学科の実習・演習科目にも多く採用されている。