予備調査の実施
第18条 第10条に基づく告発があった場合又は統括責任者がその他の理由により予備調査の必要を認めた場合は、研究委員会が予備調査委員会を設置し、予備調査委員会は速やかに予備調査を実施しなければならない。
2.予備調査委員会は、複数の委員によって構成するものとし、統括責任者の指名によって組織する。
3.予備調査委員会は、必要に応じて、予備調査の対象者に対して関係資料その他予備調査を実施する上で必要な書類等の提出を求め又は関係者のヒアリングを行うことができる。
4.予備調査委員会は、本調査の証拠となり得る関係書類、研究ノート、実験資料等を保全する措置をとることができる。
予備調査の方法
第19条 予備調査委員会は、告発された行為が行われた可能性、告発の際に示された科学的理由の論理性、告発内容の本調査における調査可能性、その他必要と認める事項について予備調査を行う。
2.告発がなされる前に取り下げられた論文等に対してなされた告発についての予備調査を行う場合は、取下げに至った経緯及び事情を含め、研究上の不正行為の問題として調査すべきものか否か調査し、判断するものとする。
本調査の決定等
第20条 予備調査委員会は、告発を受け付けた日又は予備調査の指示を受けた日から起算して30日以内に、予備調査結果を研究委員会に報告する。
2.研究委員会は、予備調査結果を踏まえ、協議の上、直ちに、本調査を行うか否かを決定する。
3.研究委員会は、本調査を実施することを決定したときは、告発者及び被告発者に対して本調査を行う旨を通知し、本調査への協力を求める。
4.研究委員会は、本調査を実施しないことを決定したときは、その理由を付して告発者に通知する。この場合には、資金配分機関や告発者の求めがあった場合に開示することができるよう、予備調査に係る資料等を保存するものとする。
5.研究委員会は、本調査を実施することを決定したときは、当該事案に係る研究費等の配分機関及び関係省庁に、本調査を行う旨を報告するものとする。
調査委員会の設置
第21条 研究委員会は、本調査を実施することを決定したときは、同時に、その議決により調査委員会を設置する。
2.調査委員会の委員は、統括責任者が指名した本大学に属さない外部有識者を半数以上含めて組織する。
3.全ての調査委員は、告発者及び被告発者と直接の利害関係を有しない者でなければならない。
本調査の通知
第22条 調査委員会を設置したときは、調査委員会委員の氏名及び所属を告発者及び被告発者に通知する。
2.前項の通知を受けた告発者又は被告発者は、当該通知を受けた日から起算して7日以内に、書面により、研究委員会に対して調査委員会委員に関する異議を申し立てることができる。
3.研究委員会は、前項の異議申立てがあった場合は、当該異議申立ての内容を審査し、その内容が妥当であると判断したときは、当該異議申立てに係る調査委員会委員を交代させるとともに、その旨を告発者及び被告発者に通知する。
本調査の実施
第23条 調査委員会は、本調査の実施の決定があった日から起算して30日以内に、本調査を開始するものとする。
2.調査委員会は、告発者及び被告発者に対し、直ちに、本調査を行うことを通知し、調査への協力を求めるものとする。
3.調査委員会は、告発において指摘された当該研究に係る論文、実験・観察ノート、生データその他資料の精査及び関係者のヒアリング等の方法により、本調査を行うものとする。
4.調査委員会は、被告発者による弁明の機会を設けなければならない。
5.調査委員会は、被告発者に対し、再実験等の方法によって再現性を示すことを求めることができる。また、被告発者から再実験等の申し出があり、調査委員会がその必要性を認める場合は、それに要する期間及び機会並びに機器の使用等を保障するものとする。
6.告発者、被告発者及びその他当該告発に係る事案に関係する者は、調査が円滑に実施できるよう積極的に協力し、真実を忠実に述べるなど、調査委員会の本調査に誠実に協力しなければならない。
本調査の対象
第24条 本調査の対象は、告発された事案に係る研究活動の他、調査委員会の判断により、本調査に関連した被告発者の他の研究を含めることができる。
証拠の保全
第25条 調査委員会は、本調査を実施するに当たって、告発された事案に係る研究活動に関して、証拠となる資料及びその他関係書類を保全する措置をとるものとする。
2.告発された事案に係る研究活動が行われた研究機関が本大学でないときは、調査委員会は、告発された事案に係る研究活動に関して、証拠となる資料及びその他関係書類を保全する措置をとるよう、当該研究機関に依頼するものとする。
3.調査委員会は、前2項の措置に必要な場合を除き、被告発者の研究活動を制限してはならない。
本調査の中間報告
第26条 調査委員会は、本調査の終了前であっても、告発された事案に係る研究活動の予算の配分又は措置をした配分機関等の求めに応じ、本調査の中間報告を当該資金配分機関等に提出するものとする。
調査における研究又は技術上の情報の保護
第27条 調査委員会は、本調査に当たっては、調査対象における公表前のデータ、論文等の研究又は技術上秘密とすべき情報が、調査の遂行上必要な範囲外に漏洩することのないよう、十分配慮するものとする。
不正行為の疑惑への説明責任
第28条 調査委員会の本調査において、被告発者が告発された事案に係る研究活動に関する疑惑を晴らそうとする場合には、自己の責任において、当該研究活動が科学的に適正な方法及び手続にのっとって行われたこと、並びに論文等もそれに基づいて適切な表現で書かれたものであることを、科学的根拠を示して説明しなければならない。
2.前項の場合において、再実験等を必要とするときは、第22条 第5項の定める保障を与えなければならない。